近年、SNSやテレビを中心に多くのメディアで、フリーランスとして活躍する人を目にするようになりました。
「自分で働く時間を決められ、好きな場所で働くことができる」
とても魅力的に感じますよね。ですが、本当にフリーランスは自由で気ままな活動をしているのでしょうか。
一見華やかに見えるフリーランスの世界も、実際は苦労が多く、フリーランス特有の悩みに頭を抱えている人も少なくないのです。
今回は「フリーランスが抱える不安とその解消方法」を紹介していきます。
悩みの原因をしっかりと特定し、不安を解消していきましょう。
目次
フリーランスが抱える不安や悩み
2018年に行われた「フリーランスの実態に関する調査」を見ると、以下のような結果が出ています。
かなり満足 やや満足 どちらともいえない やや不満 かなり不満 収入 2.5% 15.5% 33.2% 26.4% 22.3% 私生活との両立 11.2% 45.0% 33.6% 7.0% 3.1% 仕事内容ややりがい 10.9% 44.8% 36.1% 5.2% 2.9%
この表から、「約半数のフリーランスが現状に満足していない」ということが分かります。特
に、収入面で満足している人は約20%となっており、8割以上の人が収入面に不安を抱えているのです。
それではフリーランスが抱える悩みや不安を、具体的に見ていきましょう。
その1:仕事がなくなる不安
フリーランスのデメリットの1つは、収入が不安定なことです。
会社員とは違い、フリーランスは待っていても仕事はやってきません。
みずから営業をして、仕事を獲得してこなければならないのです。
クライアントは質の高い仕事を望んでいます。
もしクライアントの求めるレベルの仕事ができなければ、契約を切られてしまうこともあり得るのです。
特に、駆け出しの頃は仕事の単価が低く、多くのフリーランスが収入面で悩みを抱えています。
その2:老後の生活が不安
フリーランスは会社員とは違い、厚生年金に加入することができません。
国民年金への加入義務はありますが、将来もらえる金額は会社員と比べると大幅に少なくなってしまいます。
また、フリーランスには退職金がありません。
そのため、「十分な蓄えを残しておかなければならない」と、老後の生活への不安に日々悩まされているのです。
その3:健康面が不安
自宅で仕事をする場合、運動不足になりがちです。
運動不足は病気のリスクを大幅に上げてしまいます。
会社であれば、健康診断が義務づけられていますが、フリーランスは自分で管理をしなくてはなりません。
「面倒だから」という理由で健康診断を受けないフリーランスも少なくないのです。
ですが、フリーランスにとって体調管理を怠ることは致命的です。
フリーランスには、雇用保険や労災保険に入ることができません。
そのためケガや病気で仕事ができなくなったときに、収入がなくなってしまうという心配があります。
そのようなことにならないよう、日々体調管理に気を付ける必要があるのです。
その4:社会的立場が不安
フリーランスは会社員に比べて、社会的な信用が低いです。
近年では、多様な働き方が増えており、少しずつフリーランスの認知度も上がってきました。
ですが、いまだにフリーランスに対する偏見の目は少なくありません。
実際、「フリーランスであることを理由に、結婚相手の家族から結婚を反対された」などということも起こっているのです。
その5:交友関係が狭くなる不安
フリーランスが抱える悩みの1つに「孤独さ」があります。
フリーランスは会社員とは違い、上司や同僚がいません。
そのため仕事で問題が起きたときには、ひとりで解決する必要があるのです。
仕事がうまくいかない状態が続くと、モチベーションは下がってしまいますよね。
このように、相談できる相手がおらず、心が折れてしまうフリーランスも少なくないのです。
フリーランスの不安や悩みを解消する方法
フリーランスになると、様々な問題に悩まされます。
不安な日々を送ることも少なくありません。
ですが、安心してください。
しっかりと対策をすれば、その不安は解消することが可能なのです。
その1:収入を安定させる
安定した収入を得るには、クオリティの高い仕事をすることが必要不可欠です。
ですが、それでは不十分だと言えます。
フリーランスに求められるのは、リスクの分散です。
収入面の不安は、以下の方法で対策しましょう。
複数のクライアントを持つ
フリーランスとして収入を安定させたいのであれば、1つのクライアントだけから仕事を請け負うのは控えましょう。
世の中は何が起こるか分かりません。
それまで順調に良い関係を築いていたクライアントから、ある日突然契約を切られてしまうことも、よくある話なのです。
クライアントが1つだけでは、収入がなくなってしまいますよね。
そのようなことにならないよう、複数のクライアントから仕事を引き受ける必要があるのです。
副業から始める
収入面での不安を完全に解消したいのであれば、副業としてフリーランスの活動をすると良いでしょう。
副業であれば、会社員として毎月安定した収入があるため、突然仕事がなくなるといった不安に悩まされることはなくなります。
ですが、通常の会社員をしながら副業を行うのは、勤務時間が増えてしまい大変ですよね。
長時間の勤務が難しいのであれば、半フリーランスになるのも良いでしょう。
近年では、多様な働き方を認めてくれる会社が増えてきました。
たとえば、1週間のうち月・水・金は会社員として働き、残りをフリーランスの活動に充てることもできるのです。
その2:自分で老後の対策をする
老後の生活に対する不安を解消するには、以下の社会保障に加入することをおすすめします。
- 小規模企業共済
- 国民年金基金
- 個人型確定拠出年金(iDeCo)
小規模企業共済
小規模企業共済は、フリーランスが加入できる共済システムになります。
フリーランスは退職金がありませんが、小規模企業共済に加入することで、自分で老後の生活資金を積み立てておくことが可能です。
掛け金は、月額1,000円から500円刻みで、最高で7万円まで設定することができます。
また、小規模企業共済の掛け金は、所得税と住民税の控除と対象となっています。
節税対策にもなるためおすすめです。
国民年金基金
厚生年金のように、国民年金に上乗せすることができるのが国民年金基金です。
国民年金基金には、確定型と終身型があります。
確定型は支給期間を、5年、10年、15年の3種類から選ぶことが可能です。
一方、終身型は一生涯、年金を支給してもらえます。
つまり、長生きをすればするほど得をするのです。
なお、国民年金基金も、小規模企業共済と同様に、所得税と住民税の控除対象となっています。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金は、毎月定額の掛け金を積み立てて運用する制度です。
定期預金、保険、投資信託の中から自分で運用する商品を選ぶことになります。
掛け金は5,000円から最高で68,000円まで、1,000円刻みで自由に選ぶことが可能です。
また、運用利益は非課税となっています。
こちらも掛け金が全額、所得税と住民税の控除対象になっているため、節税対策としても有効です。
その3:一般の保険に加入する
フリーランスには雇用保険や労災保険がありません。
そのためケガや病気など、突然仕事をすることができなくなったときのために、自分自身で備えておく必要があります。
フリーランスが加入できるおすすめの保険は以下の4つです。
- あんしん財団
- フリーランス協会
- 日本フルハップ公益財団法人
- 全国商工会議所の休業補償プラン
それぞれ保障内容に違いがあるので、自分に合ったものをしっかり選ぶようにしましょう。
その4:社会的評価を高める
フリーランスへの偏見の目から身を守るには、以下の方法をとると良いでしょう。
収入を上げる
フリーランスを信用しようとしない人は、「フリーランス=稼げない」という偏見の目を持っていることが多いです。
極端な話になりますが、これらの人から信用を勝ち取るには、会社員よりも稼いでしまうのが一番の近道になります。
自分の周りをフリーランスで固める
どんなに自分の信用性を示そうとしても、世の中にはどうしても信用してくれない人が存在します。
自分を認めてくれない人と関わり続けるのはストレスになりますよね。
そのようなときは、付き合う人を変えることも大切です。
いっそ、自分の周りをフリーランスの仲間で固めてしまうのも良いでしょう。
同じフリーランスであれば、あなたを正当に評価してくれます。
無理矢理信用してもらうよりも、信用してくれる人のいる社会で生活する方がストレスも少なくおすすめです。
その5:積極的に人と関わる
「誰とも関わらず、ひとりで仕事に集中できること」がフリーランスのメリットです。
ですが、同時にデメリットでもあります。
フリーランスの生活は、「毎日が孤独との戦い」と言っても過言ではありません。
この孤独に打ち勝つには、積極的に人と関わることでしか解決できないのです。
また、相談できる相手がいなくては、フリーランスとして壁にぶつかったとき、ココロが折れやすくなってしまいます。
そのようなことを防ぐには、以下の方法をとることをおすすめします。
- フリーランスのコミュニティに加入する
- 一人暮らしを避ける
フリーランスのコミュニティに加入する
フリーランスとして活動するのであれば、仲間探しはとても大切です。
ですが、そうは言っても身近で仲間を見つけるのは難しいですよね。
もし仲間が見つからずに困っているのであれば、フリーランスが集まるコミュニティに所属しましょう。
Web上のオンラインサロンやSNSを見ると、同業種のフリーランスが集まり、活発に意見の交換を行っています。
同じ業種であれば悩みを共有しやすいため、親身になって相談に乗ってくれるでしょう。
一人暮らしを避ける
自宅を職場にしている一人暮らしのフリーランスは、孤独を感じることが多くなります。
人間は感情のある動物です。
ひとりで黙々と仕事をしていると、会話をすることがありません。
そのため感情の起伏がなくなり、精神的に悪い影響が出てしまうのです。
最悪の場合、うつに発展することもあるので注意しましょう。
そのようなことを避けるには、誰かと一緒に住むのが一番の近道です。
家族との同居が難しいのであれば、友人とルームシェアをするのも良いでしょう。
近年ではシェアハウスも増えており、多くのフリーランスや起業家が利用しています。
シェアハウスであれば、意見の交換も活発に行えるので一石二鳥だと言えるでしょう。
しっかり対策すればフリーランスになる不安は解消できる
フリーランスになった人は、日々様々な不安や悩みと戦っています。
実際、多くのフリーランスが不安に耐えられず廃業しているです。
ですが、原因が分かれば怖くありません。
備えあれば憂いなしです。
不安になる原因を1つ1つ潰していき、ストレスのないフリーランス生活を送りましょう。