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フリーランスは厚生年金に加入不可?国民年金との違いと2つの対策

2019.09.12

「フリーランスって厚生年金に加入できないの?」
「フリーランスになると年金制度がどのように変わるのかわからない」

このように感じている方も多いのではないでしょうか。

厚生年金のような公的年金は、老後の年金だけでなく自分に万一のことがあった場合に残された家族を守ってくれる制度でもあります。

自分や家族のための制度でもあるため理解は必須でしょう!

そこで今回は、フリーランスになった場合は厚生年金に加入できるかどうかだけでなく、年金制度そのものについても詳しく解説していきます。

基本的にはフリーランスは厚生年金に加入できない

男性が頭を抱えている

結論からお伝えすると、基本的にフリーランスは厚生年金に加入できないため、退職と同時に脱退となります。

そして、新たに「国民年金」に加入しなければなりません。

国民年金に加入するには、勤務先を退職したあとにお住いの市区町村役場の担当窓口に行って加入の手続きをする必要があります。

日本は「国民皆保険」という仕組みを導入しているため、年金に加入しないという選択肢はありません。

そこでここでは、勤務先を退職し国民年金に乗り換えた場合、どのような違いが発生するのかを具体的に解説していきます。

フリーランスは理解必須!国民年金と厚生年金の違い

女性が本を顔にかぶせている

国民年金と厚生年金はどちらも公的な年金制度ですが、制度内容にいくつか違いがあります。

具体的には「受給できる年金の額」と「負担する保険料」の2つです。

それぞれどのように異なっているのか、確認していきましょう。

受給できる年金の違い

2つの年金は受給できる年金の種類は変わりませんが、受給できる金額が異なります。

まず、年金の種類から確認してみましょう。

種類 内容
老齢年金 老後に生活していくために受け取る年金
遺族年金 自分が亡くなった場合に残された家族が生活をしていくために受け取る年金
障害年金 特定の障害状態になった場合に受け取れる年金

以上の年金は、国民年金と厚生年金の両方で受給が可能です。

一方で受け取れる年金には、以下のような違いがあるため、年金の額に差が生じます。

  •  国民年金:基礎年金のみ
  •  厚生年金:基礎年金+厚生年金

フリーランスや自営業は、国民年金の第1号被保険者です。

一方で、会社員や公務員は厚生年金の被保険者であると同時に、国民年金の第2号被保険者でもあります。

そのため、基礎年金と厚生年金の両方を受給できるのです。

例えば、老後になると「老齢基礎年金」と「老齢厚生年金」の両方を受給できます。

平成29年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、国民年金のみに加入している人の老齢年金の受給額は約5.5万円。

一方で厚生年金加入者は、約14.7万円です。

厚生年金に加入しているほうが、とても多くの年金を受け取っていることがわかりますね。

また、受給できる年金の金額は、国民年金と厚生年金にそれぞれ加入していた期間によって変わる仕組みです。

そのため、年金を受給するときに厚生年金に加入していなくても、過去に加入していれば、加入期間に応じた厚生年金を受け取ることは可能。

しかし、フリーランスになると国民年金に加入するため、基礎年金分の受給額しか増えていきません。

フリーランスの期間が長い人は、ずっと会社員だった人と比べて、年金の額がとても少なくなる可能性があるのです。

負担する保険料の違い

国民年金と厚生年金では、フリーランスになる自分自身だけでなく、家族の保険料にも大きな差があります。

それぞれ確認していきましょう。

自分自身の保険料

国民年金の保険料は、自分の収入や所得に関わらず一定で、2019年4月時点の保険料は、1人あたり16,410円となっています。

一方で厚生年金の保険料は、支払う人の収入によって変動する仕組みです。

具体的には、毎月の給与(標準報酬月額)と賞与(標準賞与額)に、特定の税率をかけて算出。

さらに、算出された保険料は、従業員と勤務先で折半します。

つまり会社員の方は、本来の保険料の半分しか払わなくて良いのです。

このように、フリーランスと会社員は保険料の計算方法だけでなく、負担する割合も違っています。

家族の保険料

国民年金には、扶養の概念がないため、20歳以上60歳未満の家族の保険料も支払う必要があります。

例えば、自分に20歳以上の配偶者がいる場合、保険料は32,820円(16,410円×2人分)支払わなければなりません。

一方で、厚生年金の場合は、配偶者を扶養に入れることで保険料が免除されます。

ただし、配偶者は国民年金の第3号被保険者となるため、配偶者分の年金は基礎年金分しか増えていきません。

また、配偶者を扶養に入れる場合は、配偶者の年収が130万円未満でなければならないため注意しましょう。

厚生年金がないフリーランスが将来に備えるために

男性が空をみあげている

ここからは、厚生年金がないフリーランスのために対策法をご紹介します。

  • 国民年金の給付を手厚くする制度を利用する
  • 法人化する

それぞれについて解説します。

ご自身の状況に応じて、どの対策が有効か考えてみてください。

国民年金の給付を手厚くする制度を利用する

フリーランスの方が会社に比べて、年金の受給額が少なくなってしまうのはお伝えした通りです。

そこでここからは、フリーランスになってから年金の受給額を増やす制度について解説していきます。

また、ここでご紹介する制度の掛け金や保険料は、全額所得控除の対象。

支払った掛け金の分だけ、所得税や住民税を計算するときに対象となる所得の額が減少します。

そのため、所得税や住民税の負担を減らすことが可能です。

付加年金

付加年金とは、国民年金の保険料に400円を追加して納付することで、将来の年金の年間受給額が「200円×付加保険料を納付した月間数」の分だけ増やせる制度です。

例えば、30歳でフリーランスになり、60歳までの30年間の360月(12ヶ月×30年)付加保険料を納付した場合は、以下の通りとなります。

  • 支払う保険料:400円×360月=144,000円
  •  増加する年金:200円×360月=72,000円

つまり、1年間年金を受給すれば元が取れる計算です。

国民年金基金

国民年金基金は、フリーランスと会社員の年金の差を解消するためにある制度です。

追加で掛け金を支払うことで、厚生年金に相当する部分を将来の年金に上乗せできます。

支払う掛け金の額は、選択した給付の型や口数、加入した時の年齢、性別によって決まる仕組みで、最大6万8,000円までです。

小規模企業共済

小規模企業共済は、退職金がない自営業やフリーランスの人が自らの退職金を積み立てる制度です。

そのため厳密には年金を増やす制度ではありません。

しかし、退職金を用意することは、老後の生活資金を準備するという点で国民年金と共通しています。

掛け金の上限は6万8,000円までですが、後述のiDeCoの掛け金と合算しての上限となるため注意しましょう。

iDeCo

iDeCoは個人型確定拠出年金の略称で、毎月定額の掛け金を積み立てて将来の年金を準備する制度です。

国民年金や国民年金基金との違いは、拠出した掛け金を自分で運用する点。

支払った保険料や掛け金は、専門の機関が自分の代わりに運用してくれます。

一方でiDeCoの場合は、掛け金の運用先を投資信託や定期預金、個人年金保険などから自分自身で選定する仕組みです。

掛け金の場合の上限は、小規模企業共済と合わせて最大で6万8,000円まで。

また、iDeCoは会社員や公務員でもできますが、拠出額の上限が12,000〜23,000円までに制限されます。

会社員時代にすでにイデコに加入していた場合は、掛け金の増額を検討しても良いでしょう。

法人化する

実は、フリーランスでも厚生年金に加入することはできます。

その方法は、事業を法人化すること、つまり会社を設立することです。

さらに、本人だけでなく、家族や従業員なども社会保険への加入が可能です。

法人化にはさまざまなメリット、逆にデメリットもあります。

「厚生年金に入りたいから法人化する!」という単純な人はいらっしゃらないかとは思いますが、法人化によるメリットやデメリットを理解して総合的に判断しましょう。

法人化するメリット

法人化するメリットは、以下の3つです。

  • 利益が大きいほど節税効果が期待できる 
  • 自分の給与や退職金を経費にできる
  •  社会的な信用が上がる

法人化するもっとも大きなメリットは、節税です。

フリーランスは、収入の額に応じて所得税を支払わなければなりません。

所得税は課税所得が増加すると税率も高くなる仕組みで、最高の税率は45%です。

一方で法人化した場合は、所得税の代わりに法人税を納めます。

法人税率は最高23.9%のため、売り上げが高いフリーランスは法人化した方が税負担の軽減が可能です。

また、なぜか個人事業主では自分の給与や退職金を経費にできませんでしたが、法人にすると経費にでき、その分だけ節税ができます。

法人化するデメリット

一方で法人化には、以下の4つのデメリットがあります。

  • 法人登記の手続きに時間だけでなく、定款印紙代や登録免許税などの費用が10〜24万円ほどの費用もかかる
  • 取り扱う公的書類の数が増えて事務作業が複雑になる
  •  本人だけでなく従業員の社会保険料も半分負担しなければならない
  •  赤字の場合でも法人住民税を最低7万円支払わなければならない

法人化するためには、とても複雑な登記手続きやそれなりの費用負担が必要です。

また、本業以外の事務手続きによる負担や、保険料や税金の負担も増加。

とくに、厚生年金に加入することで将来の年金が増えたとしても、それ以上に現在の保険料負担が増加することもあるので注意が必要です。

まとめ

男性が考え事をしている

基本的にフリーランスは、厚生年金に加入できず国民年金加入する形になるため、将来の年金や自分が亡くなった場合の年金などの金額が下がる傾向にあります。

しかし、国民年金をカバーする制度もあり、自己の努力で年金の金額を増やすことも可能です。

さらに、法人化することで厚生年金にも加入できるようになるため、状況に合った適切な手段を選びましょう。

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