フリーランスになると、すべて一人で仕事をしなくてはいけません。
その際に扱いが面倒になるのが領収書。
正しく処理しないと、支払う税金が多くなる可能性があるので、必ず以下のポイントを把握しておきましょう。
- 領収書の書き方を守って正しく保存
- 経費となる領収書の見極め
- 細かい注意点も把握しておく
領収書についてはしっかりルールが用意されているので、それに合わせていれば大丈夫です。
目次
領収書の書き方はフリーランスにとって重要
まず領収書を管理する前に、正しい書き方ができていないと、お金のやり取りをした証明になりません。
発行する場合も領収書をもらった場合も、以下の項目を正しく記入されているか確認しておきましょう。
- 日付
- 宛名
- 金額
- 但し書き
- 発行者
- 収入印紙
意外と忘れてしまうところが、以下で詳しく紹介する書き方の部分。
とくに領収書を発行する場合は、書き方を間違えてしまうと、先方に迷惑がかかってしまいます。
忘れずにチェックしておきましょう。
意外と悩んでしまう宛名…上様とだけは書かない
フリーランスになって法人や個人などたくさんのところと取引を始めると、領収書の書き方を正しく理解していない場合、極端にいうと信用問題にもつながることも。
とくに宛名に関しては注意しましょう。
正しく明記していないと、経費として認められないので、発行した場合は相手に迷惑がかかってしまいます。
例えば気軽に領収書が発行できるからと、中には「上様」と書く人を目にしますが、これだと税務調査の際に怪しまれる場合があります。
以下のように最低でも宛名を書くようにして、取引先との信用を崩さないようにしましょう。
- 個人事業主で屋号がある:屋号+個人名
- 屋号がないのなら:個人名のみ
- 法人に対しての宛名:株式会社○○
※「(株)○○と」書かない
宛名の書き方がわからない場合や、会社独自のルールがありそうな取引先には、素直に宛名をどのように書けばいいか聞いたほうが無難です。
もちろん領収書を書いてもらう場合も、自分から書いてほしい内容を伝えてみてください。
収入印紙は50,000円以上になったら貼る
次にわかりくいところは収入印紙ではないでしょうか?とりあえず50,000円を超える金額になったら、収入印紙を貼った領収書を発行しましょう。
金額欄に書く金額 収入印紙税額 50,000円未満 0円 50,000円~1,000,000円 200円 1,000,000円~2,000,000円 400円 参照:国税庁より
収入印紙の貼る金額ですが、1,000,000円までだと200円の収入印紙を貼ります。
もちろんそれ以上の金額になると、収入印紙税の金額も上がります。
ほとんどないかもしれませんが、覚えておいて損はありません。
但し書きは具体的に書くのが基本
但し書きも少しわかりにくい部分でしょうが、フリーランスになれば覚えておくべき項目です。
もともと領収書の意味は金額もそうですが、どんなお金の取引をしたか明確にするためにあります。
但し書きはそのお金の取引の内容を書くための項目。
具体的に書いておけば、証明書としての効果は強力です。
もちろん取引先によっては、書き方のルールがあるので、これも先に聴いておけば間違いありません。
逆に「お品代として」のような、抽象的な書き方は避けておきましょう。
フリーランスが領収書を発行する流れを紹介
書き方としては上記のようになりますが、実際に領収書のやり取りをすると、フリーランスになって初めの頃は戸惑ってしまうこともよくあります。
そこで予めどのような流れで、領収書を発行するのか把握しておきましょう。
- 宛名をどう書くか聞いて記入
- 但し書きも相談して記入
- 日付と金額を自分で確認して記入
- 発行者名を記入するか横判を押す
- 領収書の内容を確認してもらう
- 収入印紙は最後に貼る
上記のように間違えを無くすために、重要な部分から聞いていけば安心です。
そして自分で確認できる部分は、なるべく自分の力で解決できるようにし、収入印紙は最後にしましょう。
これは記入ミスがあった場合、収入印紙を貼りなおす必要があるからです。そして貼る金額を間違えないようにしましょう。
フリーランスなら確定申告に必要!領収書の正しい管理方法
フリーランスだと何が起こっても、すべて自分の責任になります。
もちろん領収書をしっかり管理できていないと税金が高くなり、それもすべて自分の責任。とはいっても今までは領収書に関しては、ほとんどの場合は他の誰かが管理していたはずです。
なるべく最小限の税額を納付するために、領収書の正しい管理方法を把握しましょう。
7年間は保存しておく必要がある
領収書を管理しなければいけないのは、7年という期間保存しておかないといけません。これは法律で決められているので、必ず守っておかないと、大変なことになるので覚えておきましょう。
7年間の保存義務があるもの 帳簿 総勘定元帳・仕訳帳・現金出納帳・売掛帳・買掛帳・固定資産台帳・経費帳等 決算書類 青色申告決算書(貸借対照表・損益計算書)・棚卸表等 現金や預金の入出金の証拠となるもの 領収書・預貯金通帳・請求書等 引用:中小企業ビジネス支援サイトより
ちなみに領収書は帳簿書類といわれるもののひとつであり、7年保存というのは総勘定元帳や仕訳帳など、さまざまな書類を管理しておく必要があります。
不安であるなら、税務署に直接相談するのがおすすめです。
領収書は経費になるものだけを選別
また領収書ならどんなものであっても、保存しておかないといけないわけでありません。そもそも領収書を保存するのは、支払った料金が経費となる証拠のために保存します。
つまり経費とならないものは、保存しておいても意味がないので注意しましょう。
経費となるかどうかの基準ですが、これもフリーランスになっての初めの頃は、判断が難しいところです。
基本としては事業のために使ったものだと経費と認められますが、以下のようなものだと、領収書を残していたとしても経費と認められない場合があります。ひとつの例なので参考にしてみてください。
イ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う地代家賃などは必要経費になりません。逆に、受取った人も所得としては考えません。
ロ 生計を一にする配偶者その他の親族に支払う給与賃金(青色事業専従者給与は除きます。)は必要経費になりません。
ハ 業務用資産の購入のための借入金など、業務のための借入金の利息は必要経費になります。
ニ 業務用資産の取壊し、除却、滅失の損失及び業務用資産の修繕に要した費用は、一定の場合を除き必要経費になります。
ホ 事業税は全額必要経費になりますが、固定資産税は業務用の部分に限って必要経費になります。
ヘ 所得税や住民税は必要経費になりません。
ト 罰金、科料及び過料などは必要経費になりません。
チ 公務員に対する賄賂などについては必要経費になりません。
引用:国税庁より
事業と関係のない生活必需品などはもちろんですが、親族などに支払う家賃も経費になりません。このような自分で判断できない領収書の処理については、税務署に直接聞いてみてましょう。
わかりやすくジャンルごとにわけて保存
フリーランスというのはさまざまなジャンルで、活動している人もそれなりにいるため、もらう領収書の種類もたくさんあるはずです。
それをジャンルごとにわけて保存しておくと、管理しやすくなります。ひとつの例ですが、以下のように分けてみましょう。
- 勘定科目ごとに分ける
- 取引先によって分ける
- 月ごとのまとめる
経費について聞かれた時に、見つけやすくしていればいいだけなので、分け方については好みの自由です。
管理しやすい方法で分けていただいて問題ございません。
領収書を保存する際に文字が消えないように注意!
今の時代では領収書と書かれたレシートを、そのまま保存して経費にしている人がたくさんいます。
金額や日付などの領収書として認められる内容が書かれているなら、レシートであっても大丈夫です。
ところがこの場合は、保存中に文字が消えないようにしましょう。
ほとんどのレシートは、感熱紙といわれる紙を利用しているのですが、雨や摩擦によって文字が消えて見えなくなってしまいます。
こうなってしまうと、経費として認められなくなってしまうので、以下のように領収書をもらうように心がけてください。
- ボールペンを使った手書きの領収書をもらう
- 密閉タイプのファイルを持ち歩いてもらった直後に保管
ボールペンだと書かれた部分が消えにくいので、雨の日でも年月が経って劣化した状態でも、比較的見やすく残ってくれます。
またもらった直後にグシャグシャになるなど、綺麗に保存することに自信がない人は、ファイルなどを持ち歩いてみましょう。かなり状態が変わるのでおすすめです。
フリーランスが領収書に対して感じる疑問をまとめた
上記では具体的にフリーランスになった場合の、領収書との関わり方について紹介してきました。
ところが領収書などをチェックする税務調査は、かなり細かいところまで見られるので、まだまだ気になる点が多くあるはずです。
そこでよく見られる領収書の疑問についてまとめてみました。
領収書の裏書をするべきか?税務調査のために書こう
領収書に裏書をする場合があるのですが、よくわからない人は何のために書いているのか、よく理解せずに適当に書いていないでしょうか?
じつは領収書の裏書は、たくさんの人と関わるフリーランスにとって、かなり重要なポイントになります。その理由は以下にまとめてみました。
- 使った支払いについて明確になるから
- 勘定科目を選ぶのに役立つから
- 税務管理官に信用してもらえる
そもそも領収書は税務調査のために、すべて保存しているようなもの。領収書をもらった過程を書く裏書は、その証拠として役立つわけです。
しっかり管理ができていると、信用が高くなるだけでなく、経費の処理などもスムーズになってメリットばかり!裏書は積極的に利用しましょう。
PDFデータにすれば収入印紙が必要ない?これは本当!
上記でも紹介しましたが、収入印紙は高額な取引があった場合に、利用するものです。
経験がない人にとって忘れがちですが、PDFデータにすれば貼らなくていいという話を、今まで聞いた経験はないでしょうか?
じつはこの話は現実に問題なく、電子データで領収書のやり取りをしたとわかれば、収入印紙を使わなくてよくなります。
請求書や領収書をファクシミリや電子メールにより貸付人に対して提出する場合には、実際に文書が交付されませんから、課税物件は存在しないこととなり、印紙税の課税原因は発生しません。
引用:国税庁より
これは国税庁の公式サイトで掲載されており、それが何よりの証拠です。もし不安なら税務署に問い合わせてから利用してみましょう。
領収書に印鑑は必要?持っていると楽!
経費として認めてもらうための領収書には、上記でも紹介したような書き方をしていれば、印鑑は必要ありません。
ところが日本というのは印鑑の文化が根強く、取引先のルールによったら、印鑑が必要になるケースも少なくありません。
そこで印鑑を押すべきか迷った場合は、とりあえず捺印してしまいましょう。
逆に印鑑が押されていたからといって、その領収書が無効になる心配はないからです。
それでも不安になる人は、捺印の前に聞いてみてくださいね。
ストレスのないフリーランス生活のために領収書の知識は必須
フリーランスはお金のやり取りに関しても、すべて自分で作業をする必要があるので、領収書についての基本的な知識は覚えておきましょう。
とはいっても覚える内容はそこまで多くありません。
- 領収書の正しい書き方
- 長持ちできる領収書の保存方法
- 経費になるかどうかの判断
基本的に上記の内容くらいなので、覚えておきましょう。
逆に1度覚えてしまうと、やり取りを何度か繰り返しているとすぐに覚えられます。
焦る必要はありませんよ。