近年、SNSを中心に多くのメディアで、フリーランスとして活躍する人を目にするようになりました。
実際、2018年にランサーズより発表された「フリーランス実態調査」を見てみると、2015年には913万人だったフリーランスの数は、2018年には1,119万人にまで増えていることが分かります。
特に若い世代には人気が高く、フリーランスは新しい働き方として、とても注目を浴びているのです。
しかし、人気があるからといって、フリーランスになった全員が順風満帆な生活ができるとはかぎりません。
フリーランスを取り巻く現実は、あなたが思うよりもずっとシビアなのです。
目次
実際は甘くないフリーランスの現実
フリーランス最大のメリットは「好きなときに好きな場所で働くことができる」ということです。
とても魅力的に感じますよね。
ですが、人間はついつい良いところにばかり目が行きがちなものです。
メリットがある一方で、デメリットも存在することを忘れてはいけません。
ここからは「自由で気楽なフリーランス生活の裏にある現実」をお伝えしていきます。
フリーランスを目指すのであれば、良い面だけでなく悪い面もしっかりと知っておきましょう。
実情その1:仕事を引き受けすぎてしまう
多くのフリーランスが陥りがちなのが、仕事の引き受けすぎです。
会社員であれば、よほどブラックな会社でないかぎり、適切な量の仕事を渡してもらえます。
自分に割り当てられた仕事さえ終わらせれば、毎月決まった額の給料が約束されているのです。
一方、フリーランスは自分で仕事を探してくることになります。
会社員とは違い、働いたら働いた分だけ収入が増えるのがフリーランスの良い点です。
そのため自分の限界を超えた量の仕事を引き受けてしまい、大変な思いをしているフリーランスも少なくありません。
特に、フリーランスとして駆け出しの頃は、単価の低い仕事しか受注できないので注意が必要です。単価が低いと、収入を増やそうと多くの案件を抱えてしまいます。
自分の許容量以上の案件を抱えると、仕事の質が低くなりがちです。
その結果、クライアントからの評価が下がり、単価も上がらない本末転倒の結果となってしまうので注意しましょう。
実情その2:税金などの雑務が大変である
フリーランスになると、確定申告をはじめとする税金などの雑務をすべて自分でやらなくてはなりません。
領収書をしっかりと管理し、収支計算を徹底する必要があります。
帳簿を付けるのは面倒だし、本業に集中したいものですよね。
ですが、確定申告はフリーランスにとって避けては通れない道です。
正しい金額を申告しないと税務調査に対象になり、税務署から連絡が来ることになるので注意しましょう。
実情その3:常に仕事が無くなる不安と隣り合わせ
「いつ仕事が無くなるか分からない」
フリーランスの多くが常にこの不安と戦っています。もちろん会社員であってもリストラや倒産のリスクはあります。
ですが、フリーランスはそれ以上の不安定さを抱えているのです。
会社は経営が傾くと、正社員を守るために非正規雇用の社員の契約を解除します。
それまで順調に仕事ができていても、ある日突然仕事が無くなることもよくある話なのです。
そのようなことにならないよう、しっかりと以下の対策をとっておきましょう。
- 貯蓄をしっかりする
- フリーランスが加入できる保険に入る
- 複数のクライアントと契約しておく
リスク分散をすることは、フリーランスにとって大事な仕事のひとつなのです。
実情その4:孤独に耐えられなくなる
ひとりで集中して仕事ができるのはフリーランスのメリットの1つです。
ですが、同時にデメリットであるとも言えるでしょう。
フリーランスは会社員と違って、アドバイスをくれる同僚や上司がいません。
仕事で悩むことがあっても相談できないのつらいですよね。
そのようなことにならないよう、フリーランスは仲間を見つけることが大切なのです。
仲間探しをするのであれば、SNSを利用しましょう。
同じ業種であれば、お互いに悩みを共有することができるのでおすすめです。。
実情その5:仕事のことで頭がいっぱいで休みがない
会社員であれば、退社後は基本的にプライベートの時間が約束されています。
しかし、フリーランスは自分で仕事をする時間を決められるため、仕事とプライベートの境界が曖昧になりがちです。
特に自宅を仕事場にしているフリーランスは気を付けましょう。
自宅で仕事をするのは、職場に泊まり込んでいるようなものです。
「休んでいる時間でも仕事のことが頭から離れず、休んだ気がしない」
このように感じているフリーランスはたくさんいます。
休む時間は仕事部屋に入らず、パソコンやスマートフォンを使わないなど、メリハリをつけるよう心掛けましょう。
実情その6:会社員以上に結果重視である
会社員であれば、よほど大きなミスをしない限りは、そう簡単にクビになることはありません。
ですがフリーランスは違います。
決められた納期に間に合わないなど、一度でもクライアントの不利益になることがあると、契約を切られてしまう可能性があるので注意しましょう。
また、「フリーランスはスキルがすべて」だと言っても過言ではありません。
クライアントが満足するだけのスキルを持っていなければ、いつまで経っても単価の低い仕事しかさせてもらえないのです。
実情その7:ライバルに仕事をとられる可能性がある
クライアントは、「可能なかぎりコストを掛けたくない」と思っています。
そのため同じスキルのフリーランスが2人いる場合、クライアントは低い単価で請け負う方を選択するでしょう。
もちろん単価だけがすべてではありません。
コミュニケーション能力や納品スピードなども、契約を続けるどうかの判断材料にはなります。
ライバルに負けないためにスキル磨きも大切ですが、日頃からクライアントと密接にやりとりをすることも大切です。
クライアントが「一緒に働きたい」と思える人材を目指しましょう。
実情その8:社会的な信用が低い
フリーランス最大のデメリットは、会社員に比べて社会的な信用がないことです。
フリーランスはクレジットカードや住宅ローンの審査に通りづらく、賃貸物件も借りづらいので気を付けましょう。
ですが、「審査に通りづらい」だけで、不可能というわけではありません。
納税実績を証明する収入証明書を用意するなど、対策は十分に可能です。
また、フリーランスになる前に審査を受けておくのも有効な手段となります。
実情その9:すべての結果が自己責任になる
会社員であれば、トラブルがあっても会社が守ってくれます。
一方フリーランスは、すべての問題を自分で解決しなくてはなりません。
もし納品物のクオリティが低く、クライアントに損害を与えてしまった場合は要注意です。
契約を切られるだけならまだしも、最悪の場合、損害賠償を請求される可能性もあるので注意しましょう。
そのようなことにならないよう、クライアントと契約をするときは、契約書の内容をしっかりと確認する必要があります。
自分に不利な契約を結ぶことがないよう、気を付けましょう。
それでもやめられないフリーランスのメリット
多くの問題を抱えるのがフリーランスです。
ですが、それでも廃業せずに続ける人がたくさんいるのは、なぜでしょうか。
それは「フリーランスとしての働き方が、デメリット以上に魅力的だから」でしょう。
スキル次第で会社員よりも高収入になれる
同じスキルを持っているのであれば、会社員よりもフリーランスの方が収入が増えることが多いです。
会社に所属していると、高いスキルを持っていても会社の規定を上回る給料をもらうことはできません。
ボーナス査定で評価され、多少は収入が増える可能性もありますが、多くは期待はできないでしょう。
ですが、フリーランスになれば収入は働いた分だけ増やすことができます。
効率よく仕事をすればするほど収入は増えていくのです。
好きな場所で働ける
「通勤時間がもったいない」と感じたことはないでしょうか。
フリーランスにはなれば場所を選ばず、好きなところで仕事ができるようになります。
自宅を職場にすれば通勤する必要がありません。
それまで通勤に使っていた時間を、仕事や余暇に充てることができるようになるのです。
都会であれば、満員電車に乗るつらさから解放されるでしょう。
また、移動中や旅先でも自由に仕事ができるようになります。
ちょっとした合間の時間に、小さな仕事を片付けることもできるようになり、仕事の効率が格段に上がるのです。
働く時間の融通が利く
「前日に夜更かしをしてしまったり、飲み会があったりして、翌日の朝がつらい」という経験をしたことはないでしょうか。
会社員であれば決まった時間に出社しなくてはなりません。
体調が悪いときに、会社に遅刻の連絡をするのは億劫ですよね。
ですが、フリーランスであれば好きなときに仕事をすることができます。
体調が悪ければ自由に休むことができるのです。
また、自由に働くときを選べるので、家族サービスなどプライベートを優先しやすいのもメリットだと言えるでしょう。
人脈が広がる
会社員であれば、人間関係は親しい友人や会社関係の人達に限れてしまいがちです。
一見、フリーランスも人間関係が限られているように感じます。
ですが、フリーランスは同業者のコミュニティに所属していることが多いです。
孤独と戦うために多くのフリーランスがSNSを利用しています。
オンラインサロンや交流会に参加する人も多く、これらの活動を通じて人脈が広がっていくのです。
思いもしないところから新しい仕事に繋がることもあるので、積極的に利用することをおすすめします。
定年退職の心配が無い
会社に勤めていると、いつかは定年退職をすることになります。
近年では、人生100年時代と言われ、定年退職後も働くことが当たり前の時代です。
ですが、定年退職後は賃金が極端に下がってしまいます。
一方でフリーランスには定年退職という概念がありません。一般的な定年の歳を過ぎたとしても、スキルさえあれば現役として活躍することができるのです。
リスクを減らしてフリーランスを目指す方法
フリーランスを取り巻く現実を見てしまうと、メリットよりもデメリットの方が多く感じてしまうのではないでしょうか。
会社を辞めてフリーランスになるというのは、大きな決断です。
独身ならまだしも、養う家族がいれば尚更迷ってしまいますよね。
ですが安心して下さい。
できるかぎりリスクを減らしてフリーランスを目指す方法があるのです。
副業から始める
フリーランスになることに迷っているのなら、まずは副業から始めてみましょう。
何の準備もせずに会社を辞めて、いきなりフリーランスになるのは非常にリスクが高いです。
もちろん不可能ではありません。
ですが、思ったような結果が出ずに苦労することも多いでしょう。
仕事が無い状態や収入が少ない状態は、精神衛生的にも良くありません。
副業で実績を積み、安定して仕事ができるようになってからフリーランスとして独立すれば、収入も減らずに安心です。
また、半フリーランスとして活動するのも有効な手段の1つです。
近年では多様な働き方を認めてくれる会社も増えています。
1週間のうち半分を会社員として働き、残りの時間をフリーランスとして活動することも可能なのです。
会社員に戻ってもいい
フリーランスになったからといって、二度と会社員に戻れなくなるわけではありません。
むしろ一度フリーランスを経験することで、仕事の効率が上がることさえあるのです。
フリーランスは会社員と違って、時間で給料をもらうわけではありません。
短時間で多くの仕事をこなすことが求められるため、仕事の効率が上がるのです。
効率よく仕事をする人材は会社からも重宝されます。
フリーランスとしての働き方に疲れたら、会社員に戻るのも選択肢の1つなのです。
フリーランスの現実は甘くないけど挑戦する価値がある
フリーランスとして十分な生活ができるようになるには、想像以上の苦労が待っているでしょう。
ですが、挑戦する価値は十分にあります。
フリーランスはあなたの可能性を無限に広げてくれると言っても過言ではありません。
人生は長いようで短いものです。
もしフリーランスになることを迷っているのであれば、小さな一歩から始めてみるのはいかがですか?