WiMAXが、IPv6に対応しているのか気になりませんか。
対応しているのなら、IPv6にはどんなメリットとデメリットがあるのか知りたいですよね。
IPv6を活用することで不便になってしまう恐れがあるため、注意点も知っておくべきです。
そこで今回は、WiMAXはIPv6に対応しているのか、メリット・デメリットなどをお伝えします。
このページを読むことで、IPv6に対応した機種や通信速度・設定方法もわかります。
ぜひ、参考にしてみてください。
目次
1.WiMAXはIPv6に対応しているのか?
結論を先にいうと、WiMAXにもIPv6に対応している機種はあります。
正確には「IPv4/IPv6デュアルスタック」という形式で対応しているのですが、これは1つの通信機器でIPv4とIPv6を併用できるシステムのことです。
対応機種を紹介する前に、IPv6のよくある質問について答えていきます。
- そもそもIPv6とは?
- IPv4との違い
- IPv6のメリット・デメリット
下記から、詳しく解説していきます。
1-1.そもそもIPv6とは?
IPv6とは、Internet Protocol Version6(インターネットプロトコルバージョン6)のことです。
今はインターネットに接続する端末がパソコンやスマホなどに限定されていますが、将来的には「物のインターネット」と呼ばれる「Iot」が台頭します。
Iotをはじめとするインターネットの普及によりIPアドレス(インターネットの住所)の不足が懸念されるのですが、IPv6が一般化することでIPアドレス枯渇問題は解消されるのです。
1-2.IPv4との違い
現在の標準プロトコルが「IPv4」です。
IPv4上に割り当てられるIPアドレスの上限は、最大2の32乗「429,496,296個」しかありません。
アジア諸国を筆頭に世界中でインターネットが急速に普及しているため、さらに多くのIPアドレスが必要になります。
IPv6なら、2の128乗「340澗(かん)」(340兆×1兆×1兆)個のIPアドレスが使用できるので、地球の全人口70億人へ均等に割り当てても1人あたり(4京8,600兆×1兆個)も使えるのです。
1-3.IPv6のメリット・デメリット
IPv6のメリット・デメリットをご紹介します。
現在もIPv6は少しずつ普及が進んでいて、Googleの統計では2013年6月時点ではわずか2.0%でしたが、2016年6月時点では17.9%、2019年6月時点では66%程度にまで広がっています。
日本国内の普及率は50.9%で、最も普及しているベルギーの普及率は約64.7%です。
では、IPv6を導入するメリットやデメリットは何なのか下記から解説していきます。
IPv6のメリット
IPv6のメリットは、以下のとおりです。
- 事実上、無限大のIPアドレスを管理できる
- セキュリティが強化される
IPアドレスは、前述したとおりIPv4の「43億個」に対してIPv6は「340澗」も使えます。
IPv6は、暗号技術を使ってIPパケットの安全性や気密性を行う「IPsec(IP security Architecture)」の利用が推奨されているため、改ざんや傍受のリスクが軽減されるのです。
IPv6のデメリット
一方で、ユーザーによるIPv6の大きなデメリットは「IPv4通信機器と相互通信できない」ことです。
Webサイトの多くはIPv4で構成されているので、IPv6通信で送受信できる相手先のWebサイトは多くありません。
しかし、最近はトンネル技術や変換技術などの運用で、デメリットは解消されつつあります。
WiMAXの「デュアルスタック」も、IPv4とIPv6を共存させるトンネル技術です。
状況に応じて、IPv4またはIPv6の利用の選択が可能になります。
2.IPv6対応のWiMAX機種は?
WiMAXルーターすべてが、IPv6に対応しているわけではありません。
要因によっては、WiMAXでIPv6を利用できない可能性もあります。
- WiMAXの回線
- 契約先のプロバイダ
- 使用する機種
WiMAXのデュアルスタックは、アクセスするサイトがIPv4とIPv6のどちらかによって自動的に切り替えてくれるので、設定しなくてもどちらかのサイトへのアクセスが可能です。
では、上記3つの要因について下記から詳しく解説していきます。
2-1.WiMAXとWiMAX2+による違い
ひと括りに「WiMAX」といっても、「WiMAX」と「WiMAX2+」という2種類の回線があって、IPv6に対応しているのは「WiMAX2+」だけです。
- WiMAX:IPv6非対応
- WiMAX2+:IPv6に対応
WiMAXは2009年2月から提供されている旧回線で、2020年3月31日にサービスが終了します。
一方のWiMAX2+は、2013年10月から提供が開始された新しい回線です。
つまり、旧WiMAX回線しか使えない古いルーターではIPv6に対応していません。
2-2.プロバイダによる違い
プロバイダによっても、IPv6に対応しているか異なります。
WiMAXにはさまざまなプロバイダが存在していますが、すべてのプロバイダがIPv6に対応しているわけではありません。
UQ WiMAXの公式サイトの「よくある質問」では、以下のように記載されています。
つまり、UQ WiMAXはIPv6に対応していますが、「各プロバイダによっては対応していないこともある」ということです。
現状、以下のプロバイダはiPV6に対応していることが分かっています。
- @nifty光
- ビッグローブ光
- ソフトバンク光
- NTTぷらら×ドコモ光
- DMM光
他のプロバイダは、 対応の有無を公表していないところが多いです。
申し込む前に、サポートセンターなどへIPv6に対応しているのか確認しておきましょう。
2-3.モバイルルーターの対応機種
モバイルルーターでIPv6に対応している機種は、現在のところ11種類です。
WiMAXのモバイルルーターにはWシリーズとWXシリーズがあるので、分けて記載しておきます。
モバイルルーター:11機種 | |
Wシリーズ:6機種 | WXシリーズ:5機種 |
W06 W05 W04 W03 W02 W01 |
WX05 WX04 WX03 WX02 WX01 |
なお、WシリーズはHUAWEI製の端末で、「速い通信速度が出せる」という特長をもっています。
一方のWXシリーズはNEC製で、「通信品質が高くバッテリーも強い」ことが特長です。
2-4.ホームルーターの対応機種
IPv6に対応したホームルーターは、以下の4機種です。
モバイルルーター:4機種 | |
Lシリーズ:3機種 | HOMEシリーズ:1機種 |
HOME L02 HOME L01 HOME L01s |
HOME 01 |
モバイルルーター同様、LシリーズはHUAWEI製でHOMEシリーズはNEC製です。
Lシリーズは「通信速度が速く同時接続台数が多い」、HOMEシリーズは「小型で軽い」という特長があります。
上記には含まれない古いWiMAXルーターでもIPv6に対応していますが、電波や通信状態が不安定になることがあるので、契約時には注意が必要です。
3.WiMAXのIPv6通信速度はどれくらい?
WiMAXのIPv6の速度は「10~50Mbpsほど」で、WiMAXにおいてはIPv6を使ったからといって必ず速度が安定するとは限りません。
ちなみに、IPv6のインターネット接続には2つの方式が採用されています。
- IPoE接続(ネイティブ接続)
- PPPoE接続
「IPv6の通信速度は安定していて速い」という認識が広まっていますが、正確には「IPoE接続」が速いといえます。
通信速度や各接続方式の違いについては、下記から詳しく説明します。
3-1.IPoE接続(ネイティブ接続)の速度
IPoE方式による接続では、最大100Gbpsの超高速通信に対応しています。
そもそもIPoE接続とは、企業内のLANなどと同じ通信規格「イーサネット」で、直接インターネットに接続する方式のことです。
IPoE方式では、PPPoE方式とは違った広い帯域幅の通信網や通信設備を経由してインターネットに接続するので、インターネット回線の混雑を回避することが可能です。
IPoE方式接続が開発された経緯は「回線の混雑の解消」で、混雑しやすく通信速度が遅くなりがちな夜間や都市部でも大幅に改善されます。
PPPoE方式接続の最大200Mbpsに対して、IPoE方式は500倍もの速さをもつことが特長です。
3-2.PPPoE接続との違い
従来の接続方式であるPPPoEは「PPP over Ethernet」の略で、イーサネット上でPPPを使うことが可能です。
PPPoEの通信速度は、最大200Mbpsに制限されています。
IPv6では、PPPoE方式でも接続できる「IPv6 PPPoE」もありますが、最大100Gbpsのインターネット回線であっても200Mbps以上に上がることはありません。
IPv4からIPv6への移行期であることからIPv6に対応していないWebサイトやサービスが存在することから、現在もPPPoE方式は使われています。
4.WiMAXでIPv6を設定する方法
WiMAXでIPv6を設定する手順は、以下のとおりです。
- 接続機器の設定ツールを起動する
- プロファイル設定からIPタイプを選ぶ
おおまかな設定方法は各ルーターで共通していますが、機種によっては若干の違いがあります。
なお、設定するときはIPv6に対応した接続機器が必要なので、事前に準備しておきましょう。
Windows7以降であれば、問題なく使用できます。
下記から、手順を詳しく解説していきます。
4-1.接続機器の設定ツールを起動する
WiMAXルーターに接続している機器のブラウザで、設定ツールを起動させます。
Wシリーズは、設定ツール起動後のIDに「Admin」パスワードに端末裏面の「IMEIの下5桁」を入力することでログインできます。
WXシリーズは設定ツール起動後に「詳細設定TOP」を選択してパスワードを決めて、ログイン画面ではIDに「admin」、パスワードには前画面で決めたものを入力すればログインが可能です。
設定ツールの起動URL
接続機器の設定ツール起動に必要なURLは、以下のとおりです。
ルーターの機種 | 設定ツール起動時に入力するURL |
Wシリーズ(HUAWEI製) | http://speedwifi-next.home |
WXシリーズ(NEC製) | http://192.168.179.1 |
使用しているWiMAXルーターの機種によって入力するURLが異なるため、間違えないように注意しましょう。
設定ツール起動後のIDやパスワードについては、上記の内容を参考にしてください。
4-2.プロファイル設定からIPタイプを選ぶ
Wシリーズの場合、設定ツールの管理画面で上部にある「設定」を選んだあと、左側にある「プロファイル設定」を選択します。
「IPタイプ」の項目を「IPv4&IPv6」へと変更して、最後に「保存」を選択すれば完了です。
WXシリーズの場合、設定ツール管理画面の左側にある「ネットワーク接続」から「プロファイル設定」を選択します。
「IPタイプ」の項目を「IPv4&IPv6」へと変更して、「設定」を選択すれば完了です。
まとめ
今回では、WiMAXはIPv6に対応しているのか、メリット・デメリットなどをお伝えしました。
以下に、これまでの内容をまとめます。
- WiMAXは「IPv4/IPv6デュアルスタック」に対応
- プロバイダによってはIPv6に対応していないので確認すること
- WiMAXのIPv6の速度は10~50Mbps
WiMAXにもIPv6に対応している機種はあります。
IPv6はIPアドレスを多用に使えることやセキュリティが強化されるといったメリットがあるため、WiMAXを選ぶ際はぜひ検討してみてください。