「フリーランスになりたいけど税金の支払いがどうなるかわからない」
「そもそも税金にどんな種類があるのか知らない」
確かに、フリーランスになると自分で税金を納めなければなりません。
計算方法も難しく感じる方もいらっしゃいます。
しかし、恐れる必要はありません!
フリーランスの税金はこの記事で紹介するポイントを抑えれば簡単に理解でき、税金の負担も減らせます。
今回は、 フリーランスが知っておくべき税金の種類や計算方法、節税の方法まで解説していますので、ぜひご一読ください。
目次
フリーランスになるとどんな税金がかかる?
そもそもフリーランスになるとどんな税金を支払う必要があるのかご存知ない方も多いのではないでしょうか?
まずは、フリーランスが知っておくべき税金の種類を4つご紹介します。
所得税
所得税とは、年間の事業収入(売上)から、必要経費を引いた所得の金額が38万円を超える人に対して課税される税金のことです。
たとえば、年間の収入が500万円、経費が200万円だった場合、残りの300万円が所得です。
この所得の金額に、個人の事情や状況に応じた所得控除が引かれた残りの額に、所定の税率がかけられて所得税が計算されます。
フリーランスは、自分で所得税の金額を計算し、確定申告をして納付しなければなりません。
確定申告の期限は、毎年2月16日〜3月15日まで。
口座振替で納税する場合は、4月中旬ごろまでとなっています。
住民税
住民税は、都道府県に対して納税する地方税の1つです。
所得税と同じように年間の所得の額によって納める額が決まります。
住民税の額は、所得税の確定申告をもとに計算され、後日自宅に送られてきた納税書くる仕組みです。
そのため、住民税の額は自分で計算する必要はありません。
住民税の納付は、毎年6月ですが、年4回に分けて分割で納税することもできます。
個人事業税
個人事業税は、住民税と同じく地方税の1つです。
法律で定められた70の業種に該当しなければ納税する必要はありません。
そして個人事業税の税率は、課税対象の70の職業を3つの区分に分け、それぞれに税率が設定されています。
個人事業税は、毎年8月と11月に半分ずつ納税する仕組みです。
消費税
消費税は、売上高が1,000万円を超えた場合に納税する必要がある税金です。
消費税が発生する売上から、消費税が発生する経費を引いた残りの金額の8%を納める必要があります。
支払う税金を計算する方法
ここからは、フリーランスが自分で計算をしなければならない、所得税の計算方法を解説していきます。
所得税は、年間の所得に課税される税金でしたね。
そして、所得とは事業収入から必要経費を引いた金額です。
しかし、所得税は所得の全てに課税されるわけではなく、個人の事情や状況に応じた「所得控除」が差し引かれた残りの「課税所得」に対して課税されます。
計算式で表すと、以下の通りです。
- 課税所得金額=(事業収入− 必要経費)− 所得控除
- 所得税=課税所得金額×税率− 控除
課税所得金額にかけられる税率は、所得の額に応じて税率が変わる仕組みです。
税率は国税庁のHPに記載されています。
例えば、課税所得の金額が200万円だった場合の所得税の額は、次のようになります。
2,000,000円×10%−97,500円=102,500円
さらに、平成25年〜令和19年までの確定申告分については、所得税の額に2.1%の「復興特別所得税」も納付しなければなりません。
上記の場合の復興特別所得税は、以下の通りです。
102,500円×2.1%=2,152円
よって納める所得税と復興特別所得税の金額は、
102,500円+2,152円=104,652円
となります。
フリーランスが払わないといけない保険
フリーランスは、税金だけでなく公的な保険の仕組みも、会社員と異なります!
具体的には、以下の2つです。
- 国民健康保険
- 国民年金保険
それぞれ、どのような制度なのか紹介していきます。
国民健康保険
国民健康保険は各市町村が運営していて、加入すると健康保険証が発行されます。
そして、保険証を受診した医療機関に提示することで、医療費の自己負担が3割となるのです。
会社員の場合は、勤務先の健康保険組合に加入することで同じように保険証が発行されます。
医療費の自己負担も3割と保障内容はほぼ同じです。
毎月の保険料の半分を勤務先が負担してくれます。
フリーランスになった場合、国民健康保険の保険料は全額自己負担です。
国民健康保険の保険料は会社員よりも高額になる可能性があります。
国民年金保険
フリーランスは、会社員のように厚生年金に加入できないため、国民年金に加入する必要があります。
国民年金は、厚生年金に比べて老後に受け取れる年金の額が少なくなるため注意しましょう。
厚生年金に加入していると、老後に受け取れる年金は、老齢基礎年金と老齢厚生年金の2つを受給できます。
しかし、国民年金の場合は老齢基礎年金しか受給できません。
会社員とフリーランスで税金や保険はどのように違う?
会社員とフリーランスは、税金の計算方法だけでなく納める方法も異なります。
計算方法や納税方法、金額がどのように異なるのかを確認していきましょう。
フリーランスは自分で計算しなければならない
フリーランスは、自分で稼いだお金に対して課税される所得税の金額を、自分で計算して確定申告をしなければなりません。
一方で会社員の場合は、自分で計算をしなくても勤務先が所得税の額を計算してくれます。
さらに金額に過不足がある場合は、年末調整にて清算される仕組みです。
また、所得税の支払いについても、フリーランスは自分で納めに行かなければなりません。
会社員の場合は、勤務先が給与から天引きし、代わりに納税してくれます。
フリーランスは経費の利用が認められている
フリーランスは、売上から経費を差し引いて所得の金額を少なくして、所得税の負担を減らせます。
会社員の場合は、基本的に経費が使えない代わりに、「給与所得控除」という金額が計算されて、収入から差し引かれる仕組みです。
税金を支払うタイミング
フリーランスの場合、所得税を支払うタイミングは、毎年2月16日〜3月15日の確定申告の時期です。
会社員は、1年間で発生する所得税のおおまかに計算された金額を、毎月の給与や賞与から分割してあらかじめ天引きされます。
ただし、給与や賞与から天引きされている所得税の金額が正確な金額ではありません。
年末調整を行って、正しい所得税の金額を算出し精算されます。
保険は全額自己負担する必要がある
フリーランスは、国民健康保険や国民年金保険の保険料の全額を自己負担する必要があります。
さらに、扶養の仕組みがないため、加入する家族の分の保険料も必要になります。
会社員の場合、加入している健康保険や厚生年金の保険料の半額は、勤務先が負担してくれているので、自己負担分は保険料の半額のみ。
また、一定の所得以下の配偶者や子供を扶養に加えることで、扶養に加えた家族分の保険料を負担しなくてすみます。
フリーランスの特権!?全て経費にして、税金対策できるって本当?
所得税の計算式を見てもらえばわかる通り、経費の額が大きいと、所得税の額を減らせる仕組みです。
しかし、なんでもかんでも経費で落としてよいわけではありません!
また、経費を落としすぎることによるデメリットも存在するため注意が必要です。
経費と認められるものは仕事に必要であった費用のみ
経費として認められるのは、売上に貢献している出費のすべてです。
取材に向かう際の交通費や業務用携帯の通信費、文具やテープ類などの事務用品など多くのものを経費にできます。
経費で落とすときに大切なことは、「これを仕事で使った」と相手にしっかり説明できることです。
たとえば交通費の場合、誰と何をするために使い、それが事業収入にどのように繋がったのかを説明できなければ、経費として認められません。
また、経費で落とす場合は、領収書やレシートなどを忘れずに保管しましょう。
経費で落としすぎると信用がなくなる
経費の額を増やすと所得の額が減り節税につながります。
しかし、所得の額が減ると社会的な信用も低下するので注意が必要です。
たとえば、信用が低いとクレジットカードを申し込む際や賃貸物件を契約するとき、ローンを組むときなどの場合に不利になり、契約できなくなる可能性があります。
そもそもフリーランスは、会社員と比較すると収入が安定していないと捉えられて、信用が低いです。
そのため、フリーランスとして働く際は、経費の落としすぎに注意しましょう。
できればクレジットカードの申し込みや、賃貸契約などは独立する前に済ませておくと安心です。
節税をするためには「控除」を有効活用しよう
節税をするには、経費の利用に加えて、所得控除や税額控除などの仕組みを利用しましょう。
控除の仕組みを利用することで、社会的な信用を落とすことなく節税できるからです。
所得控除とは
所得控除とは、先ほどもお伝えした通り、課税所得を計算するときに、個人の事情や状況によって差し引かれる金額のことです。
所得控除の額が大きいほど、課税所得の額も少なくなって節税できます。
控除の種類
所得控除の種類はとても多く、全部で14種類あります。
ここでは、14種類の中から特に重要なものを5つ選んで解説していきます。
基礎控除
基礎控除は、職業に関係なく誰でも受けられる所得控除。
所得税を計算するときは38万円、住民税の場合は33万円が控除されます。
配偶者控除
一定の収入以下の配偶者がいる場合に、38万円の控除を受けることができます。(住民税を計算するときは33万円)
生命保険料控除
保険料控除とは、生命保険や医療保険個人年金保険などに加入していた場合に受けられる所得控除です。
控除される額は、加入している生命保険の種類や支払っている保険料などで決まり、最大で12万円の控除を受けることができます。(住民税の場合は最大7万円)
小規模企業共済等掛金控除
小規模企業共済等掛金控除は、小規模企業共済や個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入していた場合、支払った掛け金と同じ額の所得控除が受けられます。
小規模企業共済は、フリーランスや自営業が退職金を準備するために積み立てる制度で、 個人型確定拠出年金(iDeCo)は、老後の年金を自分で積み立てる制度です。
青色申告特別控除
青色申告特別控除は、青色申告で所得税や法人税を納める人に対して、所得から最大65万円が控除される仕組みです。
青色申告とは、日々の取引を所定の複式帳簿に記入し、その記帳にもとづいて「貸借対照表」や「損益計算書」を作成し、納税することです。
青色申告を利用しない場合は、「白色申告」となり、控除額も10万円に減ってしまいます。
現在は、優秀な会計ソフトも多数販売されており、簡単に青色申告が行えるため、積極的に活用していきましょう。
税額控除とは
税額控除とは、計算された所得税の金額から直接控除してくれる金額のことで、代表的なものは以下の2種類です。
寄付金控除
ふるさと納税をおこなうことで、利用できる税額控除です。
ふるさと納税で納めた額から2,000円を引いた額が所得税と住民税から控除されます。
たとえば、ある市町村に30,000円分のふるさと納税を行なった場合、所得税と住民税から合計で28,000円が控除される仕組みです。
住宅ローン控除
住宅ローンを組んで、住宅を購入した場合に受けられる税額控除。
年末時点での住宅ローン残高の1%を最大で10年間控除されます。
たとえば、3,000万円の住宅ローンを組み、1年目の残高が2,880万円、2年目の残高が2,760万円だった場合、1年目は28.8万円、2年目は27.6万円が所得税から直接差し引かれます。
まとめ
フリーランスの税金対策は、経費や控除の額を増やすことがもっとも重要です。
ただし、経費で落とす額が多くなり、所得が低下すると信用も低下しするため注意しましょう。
税金対策のコツは、控除制度をうまく活用することです。そのためには、税金の計算方法や控除の種類などをしっかり理解することが大切です。